思考・論理シンポジウム2025@Waseda University

扇動と情念の時代における
論理的思考とその教育

福澤一吉、戸田山和久主催による論理・思考シンポジウムを開催します。

第1回のテーマは「扇動と情念の時代における論理的思考とその教育」です。

野矢茂樹、戸田山和久、成田悠輔、下條信輔を招き、講演とディスカッションを実施します。

開催概要

シンポジウムの目的

本シンポジウムのテーマには様々な事柄が含まれており、話題提供者には自由にお話しいただきます。例えば、扇動、情念、論理、論理的思考、教育のキーワードから引き出さる内容であれば、話題にできるというスタンスをとっています。「扇動・情念」を「論理・論理的思考」の対義語として捉える議論も可能です。一方、両者を対立するものではなく、教育を通して融合する可能性についての議論も可能です。本テーマが扱う問題は簡単に解消するものではありません。このシンポジウム全体が何らかの問題提起になることを願っています。

開催の経緯

主催者・総合統括(福澤)は、早稲田大学文学部心理学コースをはじめとするさまざまな教育の場において、30年余りにわたり非形式論理学(論理的思考※)に関する教育に取り組んでまいりました。この取り組みは、学生が具体的な学問的コンテンツを学ぶ前段階において、基礎的な論理教育が不可欠であるという認識に立脚したものです。この認識の根拠として挙げられるのは、日本では初等教育から大学院教育に至るまでの多くの場面において、フォーマルな議論・論証、論理的思考、論理的な読み書きといったスキルに関する基礎トレーニングがほとんど行われていないという現状です。

日本では論理的思考及びその周辺の教育が停滞している状況下で、世界的には反知性主義的動きが加速しています。このことは不確実なものを受け止める力が低下し、拙速な解決を求める機運が高まっていることを示唆します。これは予測不可能な対象にたいして我慢強く論理的に思考することと相反するする現象です。扇動と情念が支配的背景になりつつある時代を念頭におきながら、本シンポジウムでは論理と情念をキーワードに問題に4名の著名人からの考えをお伺いする時が来ていると考えています。

※論理が思考に先行すると誤解されているが、思考する際には思いつきで思考し、それを後向きに整える時に論理が作用する。その意味で論理が登場するのは思考の後である。

登壇者・参加者(登壇順)

  • 野矢茂樹(立正大学文学部哲学科教授、東京大学名誉教授、哲学・論理学)
    • 東京大学名誉教授。東京大学大学院総合文化研究科教授、立正大学教授を経て、現在に至る。
    • 著書に『論理トレーニング』『論理哲学論考を読む』など。
  • 戸田山和久(独立行政法人・大学改革支援・学位授与機構、元名古屋大学教授、科学哲学)
    • 大学改革支援・学位授与機構教授。名古屋大学大学院情報学研究科を経て現在に至る。
    • 著書に『論理学を作る』『論文の教室』など。
  • 成田悠輔(イェール大学助教授、経済学・データ科学)
    • 東京大学卒業後、マサチューセッツ工科大学(MIT)Ph.D取得。
    • 著書に『22世紀の資本主義:やがてお金は絶滅する』、『22世紀の民主主義:選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる』、『迷走しない!英語論文の書き方(監訳)』など。
  • 下條信輔(カリフォルニア工科大学教授、知覚心理学、脳科学)
    • カリフォルニア工科大学教授。東京大学文学部心理学科卒、同大学院人文科学研究科博士課程修了。マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院修了、Ph.D取得。東京大学助教授を歴任。
    • 著書に『サブリミナル・マインド』、『〈意識〉とは何だろうか』など。
  • (フロア参加)阿部幸大(筑波大学助教、日米文化史)
    • 筑波大学助教。東京大学文学卒、東京大学大学院人文社会系研究科修了。ニューヨーク州立大学でPh.D取得。
    • 著書に『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』など。
  • (司会)福澤一吉(明治大学法と社会科学研究所、早稲田大学名誉教授、認知神経心理学、非形式論理学)
    • 早稲田大学名誉教授、明治大学法と社会科学研究所。早稲田大学大学院卒、ノースウェスタン大学でPh.D取得。東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター)、早稲田大学文学学術院教授を歴任。
    • 著書に『議論のレッスン』など。

シンポジウムの内容

今回のシンポジウムに登壇する各スピーカーは、それぞれ専門分野を有しております。一方で、それに加えて大学学部における基礎教育にも影響力のある教育実践や著作活動を行ってまいりました。
それらに共通するキーワードとしては、教育、論理学、非形式論理学(論理的思考・議論・論証)、クリティカル・シンキングなどが挙げられます。

今回のシンポジウムでは、各スピーカーより、日本における義務教育、特に国語教育の抜本的な見直しに関する提案を含め、それぞれのお考えをお話しいただきます。
あわせて、日本と欧米における教育の比較についても触れてまいります。

申し込み・問い合わせ

申し込み:https://forms.gle/NyC55xah315TLs4y8

問合せ先:福澤一吉 fukuzawa@waseda.jp