認知リハビリテーション研究会 第5回論証ワークショップのご案内                       

第5回論証ワークショップを開催します。参加費・資料費無

参加者を募集しています。論理の基礎について学びませんか?

 参加者希望者が5名に達しましたら開催します。お一人でも、またお知り合いの方とグループで参加していただいても結構です。日程は参加者間で決定します。開催時間は夜でも構いません。どうぞ、ご参加ください。参加希望者は福澤までメールでご連絡ください。fukuzawa@waseda.jp

           早稲田大学名誉教授 

           明治大学・法と社会科学研究所客員研究員 福澤一吉、言語病理学、Ph.D.

 ワークショップの趣旨

 2022年の10月に認知リハビリテーション研究会で、「非形式論理学と神経心理学的議論」と題する講演をしました[1]。その話の中心は「論証」でした。論証とは「なんらかの根拠をもとに、そこからなんらかの主張や結論を導くこと」です。この論証は私たちの思考の基礎になっています。例えば、「最近よく雨が降る(根拠)。だから、明日も雨だろう(結論)」というごく日常的発話は論証になっています。また、「この患者は第3前頭回脚部に限局性の脳病変がみられる。だから、この患者はブローカ失語を呈する可能性が高い」などの神経心理学的発言も論証です。つまり、論証はあらゆる対象に関与します。

 論証には根拠、結論の他に、根拠と結論を論理的に結合させる論拠という要素があります。例えば、「最近よく雨が降る(根拠)。だから、明日も雨だろう(結論)」という論証であれば、考えられる論拠は「過去に起こったことは、将来にも起こりうる」というものです。これは、事実ではなく、あくまでも仮定です。この仮定を想定しない限り、「最近よく雨が降る(根拠)」から、「明日も雨だろう(結論)」という結論を導くことはできません。同様なことは難しい神経心理学的議論にも発生します

 この論証ワークショップでは論証、論理に関係する簡単な講義を聴いていただき、その後に演習問題をやりながら論証、論理の理解を深めるように構成されています。もちろん、その都度、質疑応答をします。そして、ワークショップの後半では論証の知識を使って実際の論文の一部を読み解く方法についてもお話しします。論証の理解は学術的論文の読解、または執筆に深く関係しています。

 第1回論証ワークショップに参加された先生からご感想、コメントをいただきました。

武蔵野大学 上間 清司

、「そういうことか!」と新たな発見が得られるワークショップです。これまでは、何度読んでも理解できない難解論文に対して、自分の読解スキルが足りないと思っていました。しかし、論証ワークショップに参加してからは、“ただ理解できない”ではなく、“なぜ難解な文章になっているのか?”を考えながら読み進めるようになりました。「論証」を読み解く知識は、自分の考えをまとめ、相手を納得させるツールになると思います。

 国際医療福祉大学成田病院リハビリテーション技術部 言語聴覚療法部門  大森智裕

論証ワークショップを通じて、論証ベースでの、議論・論文の捉え方が、自分の中に意識づけられたように感じます。相手の主張は経験的事実(根拠)に基づいているか?、根拠となる経験的事実の信頼性は?、根拠から主張への導出に妥当性は?、仮定となる論拠はなにか?、など、議論の相手や、論文の筆者が表現される内容を、論証ベースに捉えることで、議論や論文の本質を理解しやすくなった印象があります。

 自らが論証ベースで表現することはまだ難しいですが、様々な場面や文脈の中で取り入れ、内省することにより、論証ベースの思考過程を自分のものにしたいと思います。

関西電力病院 ST 田中春美

 論文を読んでいると,雰囲気的にはなるほどと思う内容であっても,いざ引用として使おうとすると,何をもってこのように主張できるのか・なぜこのように主張できるのか,などがわからなくなることがよくあります.その際に当該論文の論証を読み解くために必要な知識を,実習を交えながら教わることができました.読み解く力は,自分が発表する際に読み手・聞き手を納得させる力にもなります.

(この行には,「何故なら云々」を書かねばなりませんが,省略)

 同様に読み解く力があれば,例えば学会場で発表者に対して,感情的非難・気に食わないと拒否・発表者の論理に関係のない自分の主張を述べ立てる・などなどのお門違いの質問をせずにすみます.(「何故なら云々」は省略)適切な質問を投げかけることによって,意味ある質疑応答を行うことができれば,双方が&議論を聞いている周囲の者がより真実に近づくことができる筈です.これがひいては患者さんに還元できる知識や技術の向上に繋がると考えます.(う〜〜〜ん,なかなか論理的な文にすることができない!)

「論理的な思考」を習う機会の全くなかった私には,「目からウロコ」で驚きと喜びに満ちたワークショップでした.そしてこのような「考え方」にもっと前から親しんでいれば,自分自身の頭の中の「思い」をもっと適切に表現できていただろうに・・・と悔しい思いで一杯です.

皆さんもぜひ一度この世界に触れ,このような考え方を身につけて,お互いを切磋琢磨する「議論」のできる人間になってみてはいかがでしょうか.

友紘会総合病院 坂井麻里子

「論証」は馴染みのないことばで、講義は毎回大変衝撃的なものでした。一見、取っつきにくいイメージがありましたが、論証モデルを示しながら、練習問題や具体例なども挙げていただき、大変わかりやすいご講義でした。文章を書くということの奥の深さを改めて認識し、論証は思考の基礎単位であることを学ばせていただきました。元々文章を書くのが苦手であった上に、思いつくままに文章を書いていました。しかし、現在、文章を書いたり話をする際には、論証を自分なりに考えるようになりました。特に、接続詞を意識して使用しています。接続詞を挿入することで思考が整理しやすくなったように感じます。そして、一文を極力短くするようにしています。今後もさらに研鑽を積んで、論理的な文章書けるよう尽力したいと思います。

北海道大学 高倉 祐樹

これまでに自身が経験してきた「議論の食い違い」がなぜ生じていたのかについて、明解な答えをいただけたように感じました。また、議論においての「論拠」を意識するようになったことで、自分自身の思考や、ものの見方について、客観視できる機会が増えたように感じております。

横浜市立脳卒中・神経脊椎センター O T早川裕子

受講して良かった!と心から思えるワークショップです。できることなら、もっと若い時に受講したかった!と切に思います。

ワークショップで例示される文章は、私にとって何ら問題を感じるものではありません。「昨日はラーメンだったから、今日はカレーにしよう」。この中に論拠・論証のエッセンスが隠れているなんて!!驚きました。

このワークショップ受講後、私は、論文を読み書きする時だけでなく、診療録を書くとき、サマリーを書くとき、カンファレンス中など、自分の読むこと・聞くこと・表現すること、全てに不甲斐なさを感じる毎日を過ごしています。

まだまだ論証を指向するには至りませんが、このワークショップがきっかけとなり、議論できるツールを身につけることが私の目標になりました。


[1] 本講演の内容は認知リハビリテーション研究会のwebsiteでご覧いただけます。

第2回論証ワークショップに参加された先生からご感想、コメントをいただきました。

田中裕汰(大学教員)

論証ワークショップに参加したおかげで文章を書く際の考え方が大きく変わりました。なぜなら、このワークショップでは文章を書くことに慣れていない人にも分かりやすいように文章の構造や書き方を丁寧に教えていただけるからです。

私はこれまで文章をどのように書けばよいかを授業等で習った事がありませんでした。そうした背景から論文を書く際は思ったことをそのまま書いていました。内容としては書いた文章の繋がりが不明瞭なものが多かったので、大部分が修正されて返却されました。

しかし、当時の私にはなぜそうなるのかがわからないまま受け入れていました。添削箇所の理由を聞いても「こうだから」や「もっと文章を読め」としか教えてくれずモヤモヤしたまま過ごしていました。

このワークショップではそういったモヤモヤ感を感覚的に解決するのではなく、論理的に解決するのでとても分かりやすいです。

受講後、文章構造を考えながら書く意識付けができるようになったと実感しています。これから何かで文章を書く機会や論文執筆をする予定のある方は、ぜひともこのワークショップを受けられてはいかがでしょうか。

唐澤健太(リハビリテーション天草病院)

知人から紹介いただき、迷うことなく参加させていただきました。論理とは何か、接続詞の使い方、論証の構造、短い文や論文の書き方などを、とても分かりやすく概説いただきました。理解を深めるためにご提示いただいた例文は、我々が日常よく目にする会話、記事等であり、特別な知識は必要ありませんでした。論文を論理的に読み書きすることには勿論のこと、他職種やご家族、対象者の方に、わかりやすく自分の考えを伝える際にも役に立つ内容が多くありました。また、「論拠」を意識して議論を行うことによって、自分の立場や考えを俯瞰できるのではないかと感じました。

私は福澤先生の論証ワークショップに参加しました(根拠)。

だから、以前よりも自分の思考を論理的に表現できるかもしれません(主張)。

なぜなら、本ワークショップは、論証について初学者に対しても丁寧にご教授いただける機会であるからです(論拠)。